Designers Interview

OOI
TADASUKE

DESIGNER

ケイウェイブ年賀状優秀作品入選
朝日広告賞 優秀作品入賞


PORTFOLIO

http://100pamphlet.jp/designer/104

--よろしくお願いいたします。

取材者:まずデザインとの出会いからお聞きしたいと思っているのですが。

大井:小さい頃から絵や図工が好きでした。美術の成績は良い方だったので、高校で文化祭のパンフレットの表紙とかを作ったりしていました。

取材者:ああもうその頃から。

大井:例えば文化祭のパンフレットの表紙を水墨画風に作ったり。

取材者:それはソフトを使用してですか?

大井:いえ、それは手書きでした。ただ高校3年生の時、授業で情報処理の授業があり、そこでMacを使う授業はありましたね。
私の学校は、耳の真ん中までしか、もみあげを伸ばしちゃいけなかったんです。

取材者:校則で?

大井:はい。校則をあえて表紙にしたりとかしていたんです。ネタにして(笑)。

取材者:その頃からエッジが効いてますね(笑)

大井:学生時代はグラフィックは趣味でやってたくらいで、あとはサッカーばかりやっていましたね。専門学校の時、Appleが維新したiMacを出したので、そのiMacで勉強していました。専門学校を卒業してグラフィックデザインを仕事にしようかなと思い、どこにも所属もせずに、約一年間独学でグラフィックデザインの勉強をしました。親や家族に「今までで一番勉強している」と言われました。それでやっとプロダクションに入社できました。ただ勉強と仕事はまったく違うものなので、そこで本当の現場を教えてもらいました。

取材者:それが大井さんの今のデザインの原点にもなっているわけですね。

大井:もともと独立願望は強い方だったので、そこのプロダクションで何年かやって独立しようと思いました。プロダクションを辞めて、一番最初に売り込みに行った会社が、たまたま医療系専門のプロダクションだったんです。そこで面談をしてもらいポートフォリオを見せたら、次の日からいきなり打ち合わせに連れて行かれたんです。3年近く医療系のプロダクションと契約をしていました。その中で、クライアントの評判が良かったり、ユーザーのアンケートなどが好評だったりしたので、代理店の方からの仕事もたくさん増えてきました。
その後、完全に独立してからは代理店に挨拶に行ったり、外注募集も応募してみようかなと思い、売り込みに行きました。そこから自分の仕事が広がっていったような感じですね。

取材者:クライアントと一言で言っても色々だと思いますが、例えばアイデアがとにかく沢山欲しいとか、特にアイデアはなく、とにかく何かつくってほしいとかいう要望にはどう応えていますか?

大井:私は面白い仕事がやりたくてこの業界に入りました。ですので、やっぱり面白く仕事がやりたいなというのが基本的にはあります。
例えばクライアントがノープランだったらどうするみたいな話だったりすると、私はクライアントのやりたい事だったりやりたくない事を聞いて、物事を明確にするようにします。まずは「基本となる軸」を作って、その軸から色々と展開していきます。軸がないと絶対にぶれてしまうんですよね。クライアントがノープランの時には、CI(※1)やVI(※2)などの根本的なところから提案するようにしています。CIやVIも雰囲気で作るのではなくてロジカルに色や書体などにも意味を込めて作ります。重厚感という要望でも紺だったり濁っている赤だったりと、イメージが人それぞれ違うので、上手くイメージの共有をして基本となる軸を決めると仕事はスムーズにいくことが多いです。

取材者:「軸」というのはクライアントが持っているものを引き出すのですか?

大井:クライアントも実は大体やりたいことは決まっているケースが多いので、ディレクターと同行とのヒアリングから引き出します。

取材者:100人のデザイナーでは、クライアントとデザイナーの間にディレクターが立ちますが、大井さんにとってディレクターとはどんな役割ですか?

大井:デザイナーがクライアントと直接やりとりをするというのは結構大変だと思います。作業する時間も減りますし、細かなスケジューリングのやり取りをクライアントとやらないといけなくなってしまいます。ディレクターが間に入ってくれるとスケジュールを組んでくれるので「このスケジュールでは厳しいです」とか言いやすいですけど、クライアントに向かい合ってだとなかなか言いづらい雰囲気はありますよね。いないと私は困る方です。ディレクターはクライアントとのコミュニケーションを調整する必要なポジションだと思います。

取材者:ディレクターとデザイナーとの関係は実は神経を使うところで、デザイナーに渡しすぎるとクリエイティブを狭くしてしまう。かと言って情報が少なすぎると今度はイメージが掴みにくくなる。

大井:クライアントの意図をうまく汲み取ってくれるディレクターがいると、仕事はよりスムーズに行くケースが多いです。

取材者:逆にディレクターやクライアントからこのデザインにした意図を聞かれたりすることはありますか?

大井:大いにありますね。ただ、その気分で作っちゃう時もありますよ、気分でコレだなビシッ!て作っちゃう時もあります。ただ、その意図を聞かれたら、確実に答えられるようにします。それは絶対に必要だと思います。

大井:若い頃は感覚だけで作っているタイプだったのですが、年齢が上にいけばいくほどロジカルに作っているような気がします。

取材者:デザインには理由があるということですね。これをこうした理由というのが必ずあるということですね。

大井:例えばオヤジギャクの広告でバカバカしいと思う表現も、本質的な理由はここにあるんだよっていうところがあったりするので、そういうところは考えられているなと感じたりします。
一見、表現がふざけてはいるんですけど、実はものすごく考えられているというものもありますね。

取材者:確かに優秀なデザイナーさんにデザインの意図を聞くと、しっかりと答えてくれますよ。大井さんもデザインしっかり答えてくださいます。

大井:私が今まで自分が携わったもので80%以上になったことはないです。

取材者:それは出来栄えとしてですか?

大井:はい。自分の中の出来栄えとして60%70%くらいですね。「ああもう、ここをこうしておけばよかった」とか、校了してからもいつも色々と反省しています。

取材者:私には今のままですごく良く見えるのですが。

大井:いえ、本当にまだまだ未熟なところもありますし、刷り上がり後、直したいところはたくさん出てきます。なのでそういう反省点は、今後に必ず生かすようにしています。

取材者:すごいですね、まだよくできるところがあったんですね。

大井:デザインってずっとできると思うんですよ。一年間ずっとやっていて良いって言われたらずっとブラッシュアップできると思います。軸はぶらさずに、変化はしていくと思うんですけど。

取材者:時間があればどんどん良くできると。

大井:できると思います。

取材者:ところでパンフレットの場合、クライアントとその先にクライアントのお客さんつまりエンドユーザーがいますよね。どこを見たらいいのか迷う時ありませんか?

大井:僕はクライアントに響いて、エンドユーザーにまで届くように制作しています。
クライアントはご自分達の事は分かっているケースが多いと思います。ただユーザーに寄り添っていないケースもあるので「そういう時はこういう方が良いですよ」というのはディレクターに言い、クライアントに伝えてもらうようにしています。

取材者:その辺がディレクターの役割というところですよね。

大井:はい。とても重要な役割だと思っています。

取材者:ぜひこれからもクライアントとエンドユーザーに届くデザインを作り続けてください。
今日はありがとうございました。


※1 CI: Corporate Identity コーポレートアイデンティティ
企業コンセプトと経営理念をグラフィカルなロゴやシンボルマークを使用し、明確化すること。そして企業に対する自社員の認識と社外の人間が企業に対して持っている認識を一致させるもの。

※2 VI: Visual Identity ビジュアル・アイデンティティ
CIの中で一環で、企業の象徴となるシンボルマークやロゴタイプなどの視覚(ビジュアル)の統一