Directors Interview |
BAEK
INJAE
DIRECTOR
JAZYブランディング株式会社
東京オフィス チーフディレクター
取材者:では、まず自己紹介からお願いします。
白:JAZYブランディングでディレクターをしていますベックと申します。
出身は韓国ですが、2016年の4月からJAZYブランディングに勤めております。
取材者:よろしくお願いします、元々は韓国にいらっしゃったのですか?
白:生まれも育ちも韓国で、大学まで韓国です。
取材者:なるほど、どういった経緯で日本へ?
白:大学で日本語を勉強していたので、元々日本で仕事してみたいなと思っていました。最初は海外の青年たちを誘致して国際交流などの業務に携わるプログラムに参加したのをキッカケに日本へ来て。転職し今に至ります。
取材者:今現在言語としては日本語と韓国語、2カ国喋れるのですか?
白:そうですね、その二つが不自由なく喋れて、英語は日常会話レベルで話せます。
取材者:すごい努力したんですね、全然韓国の方と思わないレベルで日本語喋れてますもんね。
そんな国際的な経験をしてきた白さんですが、今現在実際ディレクション業やってみて率直にどうですか?
白:最初は凄く大変でした。業界のことも知識もスキルも一切無いので、もちろん色々教えて貰いながらやって来たのですが、ディレクションの仕事ってフローが決まっていないと思うんですよ。大枠が決まっていてもクライアントによっても、案件によっても違うので、いつ何が起きるかわからないという中でやらなくてはならないので、でもそういう面こそ面白いですね。
取材者:確かにディレクションとひとえに言っても裁量の幅がそれぞれ違いますもんね。
白:自分のやり方も他の方のやり方もあると思いますけど、正解は無いし案件がクロージングするまで本当に最初から最後まで気を抜けないというか。
取材者:ディレクターさん3人いたら3人違う仕事しているような状態なんだと思いますが、その中で心がけていることはありますか?
白:特に自分の中で五箇条のようなものは無いですが、お客さんありきの仕事ではあるので、お客さんを気持ち良くすることですね。
それはつまりお客さんにいい言葉、甘い言葉だけを言うのではなく…お客さん自身も気づいていない部分があったりすると思うんです。その中で最適な提案が出来るように気がついてあげる事が大事だと思います。こういうお客さんにはこういう風にとか、こういうお客さんにはこういう風にというように、最初の打ち合わせをする時に担当の人の性格やタイプを自分なりに解釈してお役に立てる位置に立ち回ることは意識しています。
取材者:なるほど。お客さんに合わせて、お客さんがどこを求めているのか、どういう風にやりたいかそれ込みで気持ち良くしてあげるということでしょうか?
白:そうですね。表面上の言葉では「気持ちいい」という言葉を使ったんですけど。
取材者:逆に対お客さんではなく、対デザイナーとかもあると思いますが、デザイナーさんに対して気をつけていることはありますか?
白:何よりお願いしている方を信じることです。
クリエイターの方は世間から見ると気難しいイメージもあったりすると思いますが、実際はそうではなく自分の仕事に対してプライドを持ってベストなものを作るために頑張っていると思うので、そこをまず信じた上でコミュニケーションを取りながら一緒に作っていく中でその方の手伝いをしたり相手を信じてフォローしながらということを気をつけています。
取材者:100人のデザイナーは主にパンフレットを大きな窓口として受注していると思いますが、やはり案件はパンフレットが多いですか?
白:入り口は殆どパンフレットですね。
取材者:実績を見させて頂きましたが、本当に多種多様なデザインを制作されていますよね。パンフレット制作に対して注力している部分はありますか?
白:皆さん共通して考えている部分かとあると思いますが、ゴールの設定をしっかりする事ですね。
ゴールがはっきりしていればそれに向かってクライアント様もディレクター陣も制作も同じゴールに向けて動けると思いますので、その辺りをしっかり設定しようという感じですね。
その設定作業というか、提案のやり方とかこちらでこういう方がいいと思いますよじゃなくて顧客と一緒に会話しながら色々な話をする中でそこで見えてくる部分を突っ込んで気付かせてあげることですね。
私がいいと思っているものをこちらからストレートに言ってもいいのですが…プラスのポイントをお客さん自身が気付く様に他の言葉でアドバイスしてあげたりとか、そういうやり方だとお客さん自身が考える納得のいくゴールになると思うので、ブレずに良いお仕事ができるかと思っています。
取材者:そのゴールというのは例えば、作り終わるところまでと思いがちですが、パンフレット作ったことによって集客が伸びたとか?そういう明確なゴールの設定を一緒にしていくと。
白:まさにそうです。作り終わってからいざパンフレット使って会社のイメージが良くなったとか問い合わせが増えたとかあるんですが、そういう事がここで言うゴールですかね。
取材者:例えばそのゴールってパンフレットを作りたいです、でもゴールどうしましょうか?ってなった時に、そのゴール目指すならパンフレットって有効では無いなという時は、ウェブや他の提案もしているんですか?
白:お客様にとってそれが最良の選択になるなと思えばもちろんそうですね。実際今はパンフレットから始まってWebまで携わらせてもらっているクライアント様も多いですね。
取材者:なるほど。色々な視点で、消費者目線だったり、もしくはクラインの目線であったりで考えることによってサービスも変えてるわけですね。
白:そうですね。もちろん全く同じ目線にはなれないですが、自分がこうなった場合どうか?どう思うだろうか?ということを考えるだけで結構考え方が変わってくるかなと思います。
取材者:少し話飛びますが、今クラウド系のデザイン制作サイトとかあると思うんです。結局今は企業が直接クリエイターにも出せてしまいますよね。昔より今はクリエイターに直で企業もやりとりできる世の中でディレクション敢えて通すことの意味というか、価値のようなところはどこにあるでしょうか?
白:デザインというのは正解が無いものだと思うので、それを制作側とクライアントで直接やりとりする中で、メールなどの限られたツールでしかコミュニケーション取れないんですよね。結構出てくるのは、ぼんやりとしたイメージしか持っていない方が多くて、それを言葉で表現したりすることは中々難しいんですよ。人それぞれ解釈の違い、イメージの違いがあるので…いざデザインが出来上がっても根本的にイメージが違うとか…ディレクターがいる事でデザイナーや制作側にも話を聞いて、お客さんにも話を聞いて、最初からよりイメージを統一して行くことでお互いに時間が凝縮されてよりいいお仕事になると思います。
取材者:なるほど。より橋を固くするというか…より円滑に進む様に、言われてみれば直接会ってコミュニケーション取れているというだけでかなり価値はあるかもしれないですね。
白:僕自身も制作の者ではないので、クライアントと同じ様な目線で見ることができると思うんです。ただこの業界にいるので、やはり制作側の気持ちもある程度分かっていて。そこでじゃあどうすればお互いの接点というか、より繋げられるかということを両方の目線で観れると思うんです。そこで自分なりに考えて色々アプローチしたりするのでそういう面ではクラウド系とは違う一面では無いかと思います。
取材者:よりデザイナーとクライアントを密接に繋げる接着剤的な役割を担っているんですね。
白:はい。勿論金額によって、限られた資源をどういうリソースをどういう風に配分するかだと思うんですけど、それは理解していただいた上で、こちらも頂いた仕事に関しては、期待よりはいいものを作りたいという想いがあります。特に制作のクリエイターの方々は仕事に対して真面目な姿勢もあるのでそれを見て色々いい影響を受けていますね。
仕事をキチンと遂行した上で完成したデザインに対して検証してたりとか。
取材者:もちろん最低限仕事としてのレベルは当たり前に通過しつつ、成果物に対して反省点やブラッシュアップを重ねるってとてもいいことですよね。
デザインって時間さえあれば終わりがないわけで。
100人のデザイナーでは真面目なデザイナーさんばっかりなんですね。
白:みなさん独立されている方多く、デザインの業界では私よりずっと先輩の方々も多いし、わからないことを自分から聞くことも相談することもあります。ただディレクターという立場があるのでしっかりと自分がやるべきことを忘れずにゴールに向かって一緒に歩いていくということですね。
取材者:最後にディレクターのセンスを磨くために日常でやっていることがあれば教えてください。
白:ディレクターのセンスのためというわけでは無いですが、仕事のためにというのは、リフレッシュすることですね。
取材者:ちゃんと休むということ?
白:自分なりの方法で切り替えのために筋トレをしています(笑)あとは写真が好きなので、写真撮りにフラフラしています。デザインと少しかぶるのですが、物ごとを見る視線や目線が写真だと些細なことでも面白く見えるのでそういうのを撮ったり、仕事もそうですが一つのことにじっくり集中することがすごく苦手な性格なんです。なので様々な今やらないといけないことを並べて一回全部見てそれぞれ少しずつやりながら。そのために運動とか筋トレで発散しています。それをすると集中力上がります。
取材者:写真はこれが撮りたいのでここに行くというかんじですか?それとも行った先でたまたま撮る?
白:行った先で撮りますね。週末も持ち歩いてるので。
取材者:風景写真?
白:風景、街中ですね。友達撮ったり。
取材者:最近撮ったものでこれうまくいったなという写真ありますか?
白:うーんどうだろう…最近はずっとフィルムで撮っているので、試行錯誤しながら。
取材者:フィルムいいですね、味が出ますよね。
白:そうなんですよ。二年くらい前に中古で買ったんですが、それで結構色々撮っています。
取材者:いいですね、それ。サイトにも載せましょう!それでもしかしたら注文入るかもしれないですよ(笑)カメラマンデビューもあり得ますね(笑)
最後に今後の展望をお願いします。
白:最近知った言葉で「計画的偶発性理論」とうのがあって、クランボルツ博士という人が提唱したもので、個人のキャリアって8.9割予想しないところ、偶発的に決まると。未来のことに気をとられると現在が見えなくなるので、あまり未来のことを気にしないで、今目の前のことを頑張ってやろうじゃないかというのがあるんですね。目の前のことを頑張ってやると偶発的なチャンスが訪れるときに、必ずチャンスがあると。意図的に計画的に変えていきましょうということで、単に何も計画を立てないというよりは、その本を読んで気づかされたことがあって、未来のことをあまり心配しても仕方ないと、想定外のチャンスを失わない様に今の仕事を頑張ろうという風になりました。もともと業界でもなかったので自分に共感したところがありましたね。なので今は…
取材者:展望というよりは目先のことを?
白:目先というか、そのために普段の出来事の積み重ねというかそうやっていくと見えてくることが自然に出てくると思います。今は想定できているすぐ目先ではなくてある程度先のことを考えると思いますけど、今ある出会いとか出来事はもう少し大事にしていきたいと思います。
取材者:なるほど、白さんらしい真面目なお話聞けて楽しかったです。本日はありがとうございました。
白:ありがとうございました!