Designers Interview

HACOHY

DESIGNER

MOON, DESIGN. INC

大阪生まれ、兵庫育ち。
大阪時代、全く違うタイプの3プロダクションでキャリアを積み、独立して現在福岡を拠点に活動中。


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映画のタイトルからタイポグラフィの世界にどっぷり

取材者:それでは、よろしくお願いします。

HACOHY:どうぞよろしくお願いします。

取材者:さっそくですが、デザインとの出会いからお聞きできますか?

HACOHY:学生の頃まだ漠然とでしたが、将来は副教科の方向… えーっと…スポーツとか、芸術とか、音楽関係とか、そーゆー仕事がしたいなーってずっと思ってました。
そういう仕事って、その人その人のやり方とか表現によって最後のできたもんが全く違うじゃないですか。まさに世界で1つだけのもんとゆーか。
いつかそういう自分を表現できるような仕事がずっとしたいなと思ってました。

映画が好きで、週7本ぐらい観てたんですけど、映画が始まって数分間のタイトルのところあるじゃないですか。あそこがめちゃくちゃ好きで好きで(笑)今思うとそれが自分とデザインとの出会いやったんかな〜と思います。
とくにカイルクーパーのタイトルデザインを見て当時雷に打たれたような衝撃を受けたのを憶えてます! もうそれで映画選んでまいますね〜(笑)

取材者:「セブン」のオープニングは今でも頭に焼き付いてますよ!

HACOHY:そこからネヴィル・ブロディ、FUSEとか、タイポグラフィの世界にどっぷりはまっちゃいましたね。

取材者:タイポグラフィにはまったらもうその向こうに行くしかないですもんね!なるほどな。
 

本線から脱線してどんどんどんどん深掘っていってしまう。極稀にむちゃくちゃ面白いもんが発生するんですよー。

 
取材者:HACOHYさんの仕事のやり方と他のデザイナーのやり方で、ここは違うなと思う、または意識して他のデザイナーとやり方を変えている、などあれば教えてください。

HACOHY:効率で考えたらめっちゃくちゃワルイって自分でも分かってるんですけど、“コレおもろい!”って思ってしまったらもう最後で(笑)本線から脱線してどんどんどんどん深掘っていってしまう悪いクセがあるんですよ。
頭ではそこまで調べる必要ないやんってわかってるけど、スイッチが入ると夜中でもどうにもこうにも止まんないんですよ(笑)
一回、目一杯横方向にぶわーっと広げるだけ広げてみて、最後に狭める感じですね。例えばメインビジュアルなんかを考える時なんかだと、その時点で浮かんだ絵を一回分解してみて、個々にキーワードを出して、一個一個広げるとこまで広げるみたいな。マインドマップの映像版みたいな感じですかね。
時間ばっかりかかってしまって失敗することも多いですけど…(笑) 極稀にむちゃくちゃ面白いもんが発生するんですよー

取材者:それ、クリエイティブでは大事なプロセスだと思いますよ。
HACOHYさんの頭の中に小HACOHYがたくさんいて、みんなでブレインストーミングをして最後マネージャーがまとめに入るみたいな。
 
デザインのセンスを磨くために日常でやっていることがあれば教えてください。

HACOHY:どんだけ忙しいときでも、なんかしら自分の中にインプットしてることかなーと思いますね。
ネットだけでも毎日毎日パンクしそうなぐらい情報が氾濫してますけど、自分の場合はあえてリアルに人に会って食事に行ったりしてます。
デザインとはあまり関係ないと思うかもしれませんが、いつもパワースポットならぬ、パワーヒューマンに会いに行くんです。
そーゆー充電が自分にとってすごく役に立ってるのかなーと思います。

取材者:金持ちになりたきゃ金持ちと付き合えって、よくいいますよね。
 

お店の規模は数十倍で、商品ラインナップも価格も完敗。ガチの勝負で勝った喜び。

取材者:面白かった仕事を教えてください。

HACOHY:大阪のプロダクション時代は、仕事の規模も関わる人数も多くて、学ぶ事が多いんで初めはすごくやり甲斐を感じてました。
でもどんどん仕事が細分化されていって、デザインのスキルは着実に上がってるんでしょうけど、徐々になんか自由度が低く感じてきました。

独立してからは広告を打つ本質を考えて、クライアントと相談しながら成果を上げるようにしてます。
これは今のスタンスでやらせていただいてるからこその出会いかなと思うんですが、ある電気屋さんのお仕事の実例です。

その電気屋さんのちょうど真ん前に、なぜか “超大型”の家電量販店が進出してきたんです。けっこうな郊外なのにですよー

取材者:うわ!その手の話、昔よく出てましたね。家電もそうだけど、スーパー系でも。

HACOHY:はい、それで、お店の規模は数十倍で、商品ラインナップも価格も完敗です。
最初お話をいただいて、申し訳ないんですけど正直絶対つぶれると思いました(笑)

でもそこのトップの方とみっちり話をさせていただいて数時間後には180度ころっと考えが変わって、絶対大丈夫だと思いました!
とにかく商売に情熱を持った方で、お店の強みとかコンセプトはとても明確で、まだちゃんとブランディングして発信はできてないものの、もしこの人と直接広報・販促面でやりとりできるんだったら、どんなとこでも間違いなく勝てるんじゃないかと確信していました。

取材者:勝ちのイメージができた。

HACOHY:地域密着ブランディング、顧客をひとりひとりを大切にするマーケティング、どうやったらお得意さんの○○さんは喜んでくれるんかな〜?とかすごく考えて考えて悩みましたが、ガクンと落ち込んだ状態から売上は徐々に伸び、最終的には大型量販店ができる前より業績は数倍アップして、1年半ほどかかりましたが実際にその大型量販店は撤退しました。
このガチの勝負で勝った感は嬉しかったですね〜! この喜びは歯車から抜け出したからこその喜びだと思いました。

取材者:すごい!!
気持ちよかったでしょう!!
そこがデザインとかブランディングの醍醐味ですよね!
アイデアひとつでジャイアンドキリングができる。もちろん生みの苦しみは相当あったと思うけど。
 

とんでもない美人とか言っても写真がなければ、相手の一番好きなタイプの美人をその人の頭の中に出せるんですよ。

取材者:最後に、どういうパンフレットが良いパンフレットだと思いますか?

HACOHY:やっぱり映像とか写真の惹きつける力ってすごい強いと思うんですが、紙媒体とか活字の世界ってまた違う凄さがあると思うんですよ。
一瞬の瞬発力でいくと絶対的に映像や写真の勝ちだと思うんですけど、でもそれってもうこっちの提案するビジュアルなんですよね。
それに比べて紙媒体とか活字の世界って、写真やビジュアルをあえて見せない事も可能だし、その場合映像が直接目から入ってこない分、見る側の頭の中でどこまでも勝手にいい解釈で想像させられるんですよー!それってすごくないですか(笑)
限りなく広い…とかゆーと、○万ヘクタールとか具体的な数字を言わない限り無限に感じれるし、とんでもない美人とか言っても写真がなければ、相手の一番好きなタイプの美人をその人の頭の中に出せるんですよ。
もちろん情報や数字があったほうが的確にお互い意思疎通できると思うんですが、世の中そればっがりじゃないと思うんです。男のロマン的な感じでしょうか(笑)
パンフレットの目的を考えた上でそーゆー紙媒体ならではの特性も活かし、見る人の中で感性をふくらませられるようなパンフレット、そんなパンフレットが作りたいですね。