Designers Interview

RYUICHI
SATO

CREATOR

mellowsoda,inc. 代表取締役
HP
http://mellowsoda.jp

johann ギタリスト
https://www.youtube.com/watch?v=42dzuIGpTSE


話者1: 佐藤 竜市氏
話者2: 取材者
話者3: 当社デザイナー

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映像に音楽ってマストでついてくる。映像を作れるようになると遠回りして音楽で食べられるようになるんじゃないか

取材者:佐藤さんミュージシャン歴の方が長いんですよね?

佐藤:そうですね。

取材者:ずっと音楽されていたんですか?

佐藤:今も続けています。

取材者:いつくらいからやられているんですか?

佐藤:僕がやりだしたのは高校生くらいで。そもそもバンドをやりに上京してきました。
16、17年くらい音楽をやっています。

取材者:元々東京ではなく?

佐藤:生まれは茨城です。

取材者:ずっと音楽で食べていたんですか?

佐藤:いや全然食べられてないです。飲食店でバイトしながらバンド活動をしていました。

取材者:どのくらいそういう生活だったんですか?

佐藤:(上京してから)ずっとですよ。30歳くらいまではずっと。

取材者:その後、動画の前に何かされたんですか?実業というか。事業というか。

佐藤:何もしていないです。30歳になるかならないかくらいの時に、もうこんな生活嫌だなと思って。
正攻法で、音楽で食べて行こうとしたけど、食べられなかった。
さすがに、(年齢的にも)立ち振る舞い方を考えないといけないと思ったのがきっかけですね。
色々考えてるうちに、よく考えたら、世の中の映像といわれるものには、音楽ってマストでついてくるじゃないですか。
映像を作れるようになると、遠回りでも、音楽で食べられるようになるんじゃないかっていう考えで、映像を勉強しようと思いました。
 

フジロック買おうと思った

取材者:動画は勉強したんですか?ご自身で。

佐藤:小さな制作会社に入ってそこで動画の作り方を勉強しました。

取材者:after effectsとか。

佐藤:そうですね。After effects。パソコンもその時に初めて触りました。

取材者:作曲とか(パソコンで)されないんですか?

佐藤:作曲はギター弾きながら全部アナログでやっていたので。

取材者:パソコンで作曲したりとかするのかなと思った。

佐藤:結局それ(パソコン)もお金がないと買えないじゃないですか?当時は本当にギリギリの生活で、パソコンを買うお金もなかったんです。

取材者:ソフトも高いですしね。

佐藤:そうですね…最初はメールもぜんぜん打てなくて。

取材者:30で就職するまで。

佐藤:そうですね。就職というか。バイトみたいな感じではじまって。
そこまでは、まともに社会に出たことないがなかったので・・・

取材者:ご自身で会社立ち上げたのが、いつでしたっけ?

佐藤:2018年の9月ですね。

取材者:その時はどういう意識というか狙いで?

佐藤:まずは税金の問題がありました。フリーランスを1年半やって、税金がえぐいなと思った時に、税理士さんに相談したら法人にして所得を分散したら?という提案をもらって。なるほどな、そういう考え方もあるのかって思いました。

でもそれより、1番の動機は、フジロック買おうと思ったんですよ。
そもそも僕は音楽をやりに上京してきたんだよな、と改めて思って。
その中でも、フジロックは僕にとってすごく特別で。本当に、どうしてもフジロックに出たかった。
買うと言っちゃうと雑な言い方ですけど、例えばスポンサーにならせていただくとか、そういう枠で、もしかしたら縁があって、個人ではなく法人として関わらせていただければ。もしかしたら、出られるんじゃないかって思ったのが、動機としては一番大きかったです。
別に会社にしなくても食っていけるじゃないですか。
自分を追い込みたいなと思って。

取材者:フリーランスの時から結構税金払っていたということは結構仕事としては来ていたんですか?

佐藤:びっくりしましたけど、たくさんお話をいただきました。こんな来るのかって・・・
制作会社に居た時は、給料が月に19万くらいでした。それこそ生活するのもギリギリで。
辞める前に副業で、ランサーズみたいな、クリエイターを集めるベンチャー企業が出始めて、そこの仕事をちょくちょく初めてみたら、こんなもらえるんだみたいな。

取材者:会社がもってってるな、みたいな。

佐藤:そうです。なるほどーと思って。

取材者:割り合わないなって。

佐藤:社会に出たことがなかったから、仕組み自体を概念として持っていなかった。この頃くらいから、ちょっとずつ、世の中の仕組みがわかってきたのかなとは思います。もちろん会社は、色々な事を保証してくれている訳ですから、その点は理解できますが、にしてもこの労働時間と仕事量でこのお給料だとな…っていう思いはありました。笑

取材者:辞める時にお客さんも、「佐藤くん辞めるの?なら頼みたいんだけど」みたいな感じ?

佐藤:お客さんは一切持ってきていないですね。前にいた会社からは。

取材者:どうやって最初の仕事とか取ったんですか?

佐藤:最初はいろんなところに登録しまくりました。

取材者:ランサーズみたいな。

佐藤:最初は、大きく分けてクラウドワークスとかそういうクリエイターを集める系のところと、もう一個、古くからのテレビCMとかプロダクションメインでやっている系の2ジャンルに申し込んだんです。
後者のジャンルの方々は、一度気に入ってもらえると結構人づてに仕事が広がっていくんです。
初めてやった仕事も、(お客さんに)気にいってもらえると、どんどん知らない人から電話かかってくる。ありがたいことに独立してから、ひと月目からスケジュールがパンパンに埋まるくらい、お話いただけました。

取材者:確かに(佐藤さんの)動画は凄いもんね。
 

少数精鋭で。ブランディングの方向としては何だかよくわからない会社にしたい

――(佐藤氏の動画ポートフォリオを見ながら会話しています)

(たとえばこの作品 ↓)

取材者:メロウソーダという社名の由来はなんですか?

佐藤:僕のやっているバンドの曲名です。

当社デザイナー:動画で流している曲は?

佐藤:これも僕のバンドの曲です。「今夜あなたと」っていう曲。

取材者:この辺のってafter effectで簡単にできるものなんですか?

佐藤:紙のゆらめきとか、水とかって結構難易度が高いんですが、工夫次第で出来ます。一回3Dソフトに持って行って、紙の質感つけてアフターに持ってくる。イラレで作ってフォトショップに持ってくるみたいな。

当社デザイナー:こういうの会社で働きながら勉強したということですよね。

取材者:最初は絵コンテとか書いて。

佐藤:そこが一番重要ですね。シナリオ、ナレーションと絵コンテ。ここまでの作業がめちゃめちゃ重要で。ここまでの作業で、変なことやっちゃうと絶対良くならない。僕はここに一番時間をかけてやります。

取材者:絵コンテ書く時にはかなり正確に絵コンテ上で再現するというか、書くんですか?

佐藤:動画制作をする上で、クライアントとの認識のズレが一番まずいので、可能な限り正確にわかりやすく、コンテに落とし込みます。
抽象的な表現って、人によって捉え方違うじゃないですか。

取材者:はい。

佐藤:だから、クライアントとイメージを共有するために参考の映像とかベタベタ貼ったりして。

取材者:イメージはどうやって降りてくるんですか?

佐藤:降りてくるというより、探しまくるに近いかもしれないです。

取材者:web検索したり街を見たり?合いそうな絵面を。

佐藤:海外のモーションデザインスタジオのはかなり参考にしています。

取材者:海外と日本の動画は違うものですか?

佐藤:けっこう違うかな、と思います

取材者:どういうところが違いますか?海外と日本。

佐藤:色使いとか、動きの滑らかさとか。

取材者:それは平面のグラフィックとかの色のテイストが日本と海外で違うようにということですか?それとも動画独特の色の違い?

佐藤:それは多分共通だと思います。デザインとして成立している物があってそれを動かすというのは基本です。
例えば動かし方とかも違うんです。

取材者:例えばどんな動きの違いが?

佐藤:ちょっとお見せしながら・・・

取材者:拝見したい。


――(海外の動画制作サイトを見ながら会話しています)

佐藤:主観ですけど、いいと思える動画は全ての動きに意味があって。無駄なところが一つもない。

取材者:全然違うね。

佐藤:こんながちゃがちゃしているのに、広告で絶対重要な文字に目が行くんです。
読めなく無いじゃないですか。

当社デザイナー:凄い自然ですね。

取材者:ストーリーがしっかり出来ていて切れ目をうまく演出しているというか。

佐藤:そうそうカットで変わらずシームレスな展開というか。

取材者:そういう意味だと日本の制作会社はまだ彼らに比べると追っかけている状態ということですかね?

佐藤:日本でも海外でもそのあたりは人によるのかなと思います。
日本の会社でも素晴らしい会社はたくさんあります。
まだ自分も勉強中ですので偉そうなことは言えませんが。

取材者:こういうの訓練で慣れるものなんですかね?元々もう持っているものに依存しちゃうのかな。

佐藤:訓練でどうにかなると僕は信じてます。

取材者:ですよね。このクオリティに日本も近づいていけるといいですね。
日本の動画がまだまだなのは、日本人がユーザーとして良い動画にあんまり触れてないからというのもありそう。良い動画がどういうものなのか知らないから、品質的にあんまりなものでも満足してしまうっていう。

佐藤:僕は、それで全然良いかなとは思っています。
それこそ、会社の今後の動きとしてはお客さんに合わせて二軸化して走らせようかな、とかは考えています。
予算度外視でこだわった特徴的な映像にしたいお客さんと、安くてわかりやすい動画が欲しいお客さんと、どちらがいいということはなくて。
お金を出しているのお客さんだし、お客さんが満足いくものができるのが一番いいので。そういった要望にも対応していけたらいいなとは思っています。

取材者:営業する時はこういうサンプル見せて、もう一発で決めちゃうみたいな感じ?

佐藤:その場でサンプルとかを見せて、気に入ってくれる人は受注まで行くし、みたいな。

取材者:大体サンプル見ればお客さん側もうちは求めているものではないというのが何となくわかる?

佐藤:そうですね、多分何となくイメージは伝わってるのかなとは思います。

取材者:値段で渋られたりすることあるんですか?

佐藤:値段で渋られることもありますね。それもあって差別化はしようかなって。こだわりたかったらとことんこだわります。ライトでコスト重視なものはそれを優先して。

取材者:方向としては佐藤さんどういう3年後5年後みたいなのって構想はありますか?

佐藤:とりあえず目標として売り上げベースではざっくり立てましたけど、どうしたいかというのはまあ…でも、とりあえず、人数は増やさないだろうというのはあります。

取材者:少数精鋭。

佐藤:少数精鋭で。会社の方向性としては何だかよくわからない会社にしたいです。
正体不明だけど、凄いことやっているなみたいな。

取材者:ありがとうございます。色々話せて楽しかったです。動画の勉強にもなりました。ありがとうございます。